日本の選挙と投票率の変化「投票率が減っているのはなぜ?」

選挙

選挙は、私たちが社会に参加し、自分たちの未来を形づくるための貴重な機会です。

日本では、戦後から現在まで、選挙に多くの人が参加し、社会の方向を決めてきました。

しかし近年、投票率が低下し、「選挙離れ」が問題となっています。

「なぜ投票率が下がっているのか?」

「投票率が下がるとどんな影響があるのか?」

戦後から現在にかけての投票率の変化をまとめてみます。


日本の投票率の推移

戦後から現在までの投票率の流れ

戦後から現在までの投票率の推移を3つの時代に分けて整理すると、以下のようになります。

時代投票率備考
戦後〜昭和後期1958年76.99%戦後最高の投票率。復興期で政治関心が高い時代
1980年74.56%高投票率が続いた時期
平成初期〜後期1996年59.65%小選挙区比例代表並立制の導入
2005年59.32%60%を下回る低投票率が増加
2014年52.66%戦後最低の投票率
令和時代2021年55.93%わずかに回復
  • 戦後〜昭和後期(1950年代〜1980年代)

    戦後の復興期には、政治が生活に密接に関わり、多くの人が積極的に投票していました。
    1958年の76.99%が戦後の最高記録です。

  • 平成期(1990年代〜2010年代)

    1996年に小選挙区比例代表並立制が導入されて以降、投票率は徐々に低下。
    2014年には52.66%と、戦後最低の投票率を記録しました。
    政治への不信感や「投票しても変わらない」という無力感が広がった時代です。

  • 令和時代(2020年代)

    2021年の衆議院選挙で55.93%にわずかに回復しましたが、戦後と比べると低い水準にとどまっています。


なぜ投票率が低下しているのか?

投票率が低下する背景には、以下のような理由があると考えられます。

1. 若者の投票率が低い

特に20代から30代の若年層の投票率が低いことが、全体の投票率の低下を招いています。

多くの若者が「政治に興味が持てない」「投票しても変わらない」と感じ、投票に行かない傾向が見られます。

2. 複雑な選挙制度

1996年に導入された小選挙区比例代表並立制は、特に若い人たちにとって複雑に感じられがちです。

この制度では小選挙区と比例代表の両方で候補者を選ぶため、選挙の仕組みがわかりにくく、投票のハードルが高くなっている可能性があります。

3. 政治への関心や期待の低下

現代の日本は生活の安定が進んでおり、政治が日々の生活に大きく影響していると感じる人が減っています。

そのため、特に若年層では「投票しても生活は変わらない」という考え方が広がっているのです。


投票率低下がもたらす影響

投票率が低下することで、若年層にとって重要な政策が後回しにされ、社会全体にもさまざまな影響が出ます。

1. 若者の声が届きにくくなる

若い世代が投票に行かないと、政治はどうしても高齢者に有利な政策に偏りがちです。

例えば、年金制度の充実や医療福祉が優先される一方、若者が関心を持つ教育や雇用、育児支援などは後回しにされやすくなります。

教育と就職支援が遅れる
教育費や奨学金支援など若者が求める政策が進みにくく、非正規雇用やフリーランスが増えるなかでの支援も後手に回りがちです。

住宅・子育て支援への影響
住宅や育児支援が進まないため、育児負担や住宅費負担の軽減が課題のまま残り、若い世代の暮らしにくさが改善されにくい状況です。

優先されがちな政策若者が求める政策
年金制度の改善・医療支援教育費負担の軽減・就職支援
高齢者向けの福祉サービス子育てや住宅支援

2. 政治家が若者向け政策を打ち出しにくくなる

若者が投票に行かないため、政治家にとっては高齢者向けの政策を重視する傾向が強まります。

これは「投票しても変わらない」という無力感を若者に与え、さらに投票率低下が進む悪循環を引き起こします。

結果的に、働き方改革やデジタル技術を活用した新しい政策の実行も停滞しがちです。

3. 社会全体の政治的関心が低下する

投票率の低迷が続くと、やがて政治そのものに対する関心や信頼が薄れ、社会全体で「政治は自分たちに関係ない」と感じる人が増えるリスクがあります。

その結果、重要な政策議論が進まず、民主主義の健全な発展が阻害される恐れもあります。

若者はますます関心を失い、社会全体での政治的無関心が広がるリスクがあります。


投票率を上げるための取り組み

投票率向上に向け、さまざまな対策が進められています。

  1. 期日前投票の促進
    • 忙しい人でも投票しやすいように期日前投票が拡充されています。
    • 期日前投票の利用者は年々増加し、2021年には2000万人を超えました。
  2. 若年層への政治教育と啓発
    • 学校での政治教育を充実させ、社会に出る前に選挙や政治の重要性を学べる機会を増やしています。
    • また、SNSなどを活用し、若者に向けた選挙啓発活動も行われています。
  3. 地域ごとの投票促進キャンペーン
    • 地域によっては、投票後に店舗で割引が受けられるなど、投票を促進する取り組みも行われています。
    • こうした取り組みが、若者の投票意欲を高める手助けになっています。

まとめ – 一票が社会を変える力になる

選挙の投票率は年々低下していますが、期日前投票や政治教育の充実により、若者が投票しやすい環境が少しずつ整っています。

投票は、私たち一人ひとりが社会に関わる最も身近な方法です。

ぜひ「一票を投じる」ことの意義について考え、投票所に足を運んでみましょう。

皆さんの一票が、社会を変える力となるかもしれません。