5月18日(日)、「令和7年 余市消防団・消防演習」に行ってきました。
〜地域の力、そして誇り〜
余市消防団は常備消防(消防署)がカバーしきれない地域の隅々まで目を配り、住民に最も近い防災組織として活躍しています。
火災発生時の初期消火や近隣への延焼防止はもちろん、高齢者宅への広報巡回や避難訓練への協力など日常的な防災・減災活動を通じて町民の安全を支えています。
団員自身が地域住民で構成されているため、地理や住民状況に精通しており、災害時にはその強みを活かして住民の安否確認や避難支援も行います。
町内会や自主防災組織との連携も緊密で、地域ぐるみで防災力を高める取り組みを続けています。
「日常の延長線上で、いざという時に備えている地域の守り手たち」
真剣な眼差しで訓練に臨む団員の姿に、改めて感謝をします。



組織の概要:地域に根ざした安心のネットワーク
余市消防団は、地域防災を担うボランティア組織です。
「北後志消防組合」に所属し、町内を4つの分団に分けて活動しています。
令和6年度時点で団員は約130名。
女性団員も9名在籍し、地域密着の体制が整っています。
日頃の活動は?
普段は会社員や自営業の団員が、時間を割いて「町を守る」取り組みを進めています。
歴史をひもとく:明治から続く「火を消す誇り」
余市消防団の起源は明治時代初期にさかのぼります。
明治初年には町内に「よ組」「い組」「ち組」と呼ばれる私設の消防組が組織され、地域の火消し(火防)にあたっていた記録があります。
近代的な消防団制度発足後も組織は存続・発展し、取り組みを進めてきました。
昭和期以降の沿革
○昭和49年(1974年)4月1日:
北後志消防組合の設立に伴い、余市町の消防団は「北後志消防組合余市消防団」として再編されました。
発足当時の定員は160名です。
○昭和51年(1976年)10月17日:
余市消防団が全国消防操法大会(消防団のポンプ操法技術を競う全国大会)に北海道代表として出場しました。
高度な消火技術と団結力が評価され、地域の誇りとなる出来事でした。
○平成10年(1998年)4月1日:
団の組織に女性消防団員が初めて導入され、当初10名の女性が入団しました。
これに伴い定員も170名に拡大し、男女協働で活動する体制が整えられました。
○平成24年(2012年)2月23日:
長年の顕著な功績が認められ、余市消防団は日本消防協会から特別表彰「まとい」を受賞しました。
この「まとい」は日本消防協会の機関表彰の中で最高位に位置付けられる最も名誉ある表彰であり、余市消防署入口にはその「まとい」が展示されています。
○令和6年(2024年)8月30日: 第76回北海道消防大会が初めて余市町で開催されました。
北海道内各地から消防関係者や来賓約1,000人が集う大規模な式典で、余市消防団が大会運営の中心を担い、各種表彰や活動事例発表が行われました。
この開催は、歴史と伝統ある大会を誘致できるだけの余市消防団の信用と実力を示す出来事となりました。
地域における役割と実績:安心は、日常の積み重ねから
消防団の強みは、「地域を知っている人」が「地域を守る」ことにあります。
災害時、地理や住民状況に精通した団員が避難誘導や安否確認を担うことで、迅速かつ的確な対応が可能になります。
また、高齢者世帯や住宅密集地の巡回、住宅用火災警報器の普及啓発など、地道な活動を通して町全体の防災力を底上げしているのです。
近年の主な取り組み
- 消防演習の一般公開で防災意識を啓発
- 女性団員による火災予防キャンペーン(ティッシュ配布など)
- 最新の消防団活動車両の導入(日本消防協会より提供)
- 北海道消防大会の余市開催(2024年)
おわりに:私たちにできること
余市消防団は、火災や災害から町を守るだけでなく、地域に安心とつながりをもたらす存在です。
団員の方々の努力に感謝しながら、私たちも火の元に気をつけたり、防災訓練に参加したり、地域の安全に少しずつ関わっていくことが大切だと改めて感じました。