令和6年第2回定例会が、6月24日(月)から26日(水)まで開催され、閉会しました。
今回の定例会の主だった内容をまとめます。
陳情第1号 補聴器購入助成制度の創設を求める陳情書
昨年12月に「補聴器購入助成制度の創設を求める陳情書」が議会に提出され、3月議会で民生教育常任委員会へ付託となりました。
付託とは、本会議で即決するのではなく、一度、委員会へ下ろして中身の審議をし、その結果を持って採決することです。
委員会では参考人制度を活用し、提出者に説明を求めました。
また理事者側の見解も聞きました。
参考人の説明 (要旨)
- 余市町在住の高齢者誰もが、豊かで平等な社会生活が送れるよう、皆で支え合うために条例を制定して頂きたい。
- 高齢者の補聴器利用は認知症予防になる。
理事者側の見解
加齢性難聴の支援は、一律、国によって行うべきと考える。
町単独では考えていない。
現在、本町で65歳以上の人口は、およそ6,800名ほど、70歳以上は4,000名ほど。
70歳以上のほとんどの方は聴力が低下するとのこと。
助成をしている自治体と同程度の補助をすると考えた場合は、1人30,000円ほどとなる。
65歳以上の場合…6,800人×3万円=2億400万円
70歳以上の場合…4,000人×3万円=1億2,000万円
全員が補助の申請をする訳ではないでしょうが、とてもお金はかかります。
委員会の審査結果は不採択です。
議会は議案を上げる権限は持っていますが、予算の執行権はありません。
そこを無視して条例を制定するというのは、やるべきではないと考えます。
議会にはいろいろな立場や考えの人がいて、そこで民主主義に則った議会運営を進めていくためには、ルールを守るということは、大前提なのだと思います。
町側がやらない (やれない) と言っているのに、議会が議案を上げて予算が伴う条例を可決させるというのは、無いのだろうと思います。
ただ、この陳情書の内容の必要性や提出者の意見も、よく分かります。
委員会の中では、そこの部分について全委員一致した見解であり、委員会として国に対して「意見書」を提出いたしました。
私の経験上では、常任委員会から意見書を提出したことはなく、不採択となったものの、その必要性は認めたものだったと思います。
令和6年度 一般会計補正予算(第2号) 概要
補正予算額 3億9,920万円
規定予算に今回の補正予算を追加した予算総額 110億2,920万円
歳出
- 令和5年度の歳入歳出確定に伴って、翌年度へ繰り越す一般財源を差し引いた繰越金、3億7,926万5,749円を財政調整基金へ積立。
- 国の「デジタル田園都市国家構想交付金」の交付決定を受けた「ガストロノミーツーリズム推進事業」の関連経費
- 町営斎場建替事業に係る基本計画策定委託料
- 寄付に伴う積立金
- アイヌ政策推進事業関連経費の補正
- 子ども・子育て支援法の一部改正に伴う児童手当拡充に係るシステム改修等関連経費
- 認可外保育施設等利用助成金
- 農林水産業費、地域計画策定に係る委託料等
- 水産加工排水処理施設整備工事の補正
- 再生可能エネルギー導入事業に係る関連経費の補正
- 準用河川黒川、支障木伐採委託料の補正
- 海の学びミュージアムサポート事業関連経費
一般質問
一般質問は8名による13問です。
発言順位は質問を提出した順番となっています。
発言順位 | 質問議員 | 質問事項 |
1 | 尾森 加奈恵 | 1.余市・小樽間の鉄路とバス転換について |
2 | 大物 翔 | 1.温水プールの整備について |
3 | 佐藤 剛司 | 1.余市町地域防災計画について |
4 | 寺田 進 | 1.指定緊急避難所・避難所の管理について |
5 | 内海冨美子 | 1.余市町における地域公共交通と高齢者への施策について |
6 | 川内谷幸恵 | 1. 本町の交通安全対策について 2.新規就業者に対する助成について |
7 | ジャストミート あたる | 1.図書館のNHK受信料とその経過について 2.図書館の夏の湿度と設備について 3.無料配送システムを使った乳幼児・高齢者オムツ定期便について 4.北星余市高校生徒の大麻所持・使用問題による補助金の妥当性について 5.今と昔のソーラン祭りの違いについて |
8 | 岸本 好且 | 1.都市公園予定地の周辺整備について |
要望意見書
議会提出の意見書は7本です。
いずれも全会一致です。
北海道の森林は、全国の森林面積のおよそ4分の1を占め、地球温暖化防止や国
土の保全、林産物の供給等の多面的機能の発揮が期待されており、これらの機能を
十分に発揮させるためには、森林資源の循環利用を進める必要があります。
全国一の森林資源を有する北海道が、2050年カーボンニュートラルの実現に
向けて、伐採後の着実な植林による森林の若返りや長期間炭素を固定する木材利用
の促進、化石燃料の代替となる木質バイオマスの利用促進など森林吸収源対策を積
極的に推進する責務を担っています。
北海道では、森林資源の循環利用に向けて、森林整備事業や治山事業など国の事
業を活用し、植林・間伐や路網の整備、優良種苗の安定供給、山地災害の防止、木
造建築物の整備、森林づくりを担う人材の育成など、様々な取組を進めてきたとこ
ろです。
北海道の森林を将来の世代に引き継ぎ、環境への負荷の少ない循環型社会を形成
するためには、活力ある森林づくりや道産木材の利用、防災・減災対策を一層進め、
ゼロカーボン北海道の実現に資する森林・林業・木材産業施策の充実・強化を図る
ことが必要です。
よって、国においては、以下の措置を講じるよう強く要望いたします。
記
1. 地球温暖化や山地災害の防止など森林の多面的機能を持続的に発揮させるため、
適切な間伐や伐採後の着実な植林の推進に必要な森林整備事業予算や、防災・減
災対策の推進に必要な治山事業予算を十分に確保すること。
2.森林資源の循環利用を推進するため、成長が早く形質の優れたクリーンラーチ
などの優良種苗の安定供給、ICT等の活用によるスマート林業の推進、木材加
工・流通体制の強化、建築物の木造・木質化や木質バイオマスの熱利用の促進な
どによる道産木材の需要拡大、外国人材も含めた森林づくりを担う人材の育成・
確保などに必要な支援を充実・強化すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年6月26日
北海道余市郡余市町議会議長 藤 野 博 三
【提出先】衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、
文部科学大臣、農林水産大臣、経済産業大臣、国土交通大臣、
環境大臣、復興大臣
難聴はあらゆる世代に発症し、コミュニケーションを困難にするなど、日常生活
を不便にして生活の質を落とす大きな原因となり、社会生活においても支障が生じ
るおそれがあります。
また、コミュニケーションが減ると、会話することで脳に入ってくる情報が少な
くなり認知症やうつ病につながるのではと考えられています。
コミュニケーションの重要な役割を担う聴覚機能の維持や、将来の医療費・介護
費の増大リスクの軽減などの観点から、補聴器の普及に向け、世代を超えた難聴対
策を充実させていく必要があります。
国立長寿医療研究センターの調査では、難聴と認知機能低下との関連性を見出し、
日本では海外と比較して補聴器の使用率が低いことも分かりました。
補聴器の購入は保険適用がないため全額自己負担で購入することになります。
国では、現在、補装具費支給制度により、補聴器の購入に要した費用を一部支給
しているものの、制度の対象は、身体障害者手帳の交付対象となる重度・高度難聴
の場合のみです。また、中等度以下の場合は購入後に医療費控除が受けられるもの
の、多くの難聴者は自費で購入しなければならないことから、難聴者への配慮が求
められます。
よって、国においては、こうした課題に対応するため、補装具費支給制度の対象
とならない難聴者の補聴器購入について、全国統一の公的支援制度を構築するよう
強く要望いたします。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年6月26日
北海道余市郡余市町議会議長 藤 野 博 三
【提出先】衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、財務大臣、厚生労働大臣
公共インフラの適切な維持管理や更新は、地域住民の日常生活の安全と安心のた
めに大変に重要な課題です。地方公共団体が整備や維持管理を進めてきた下水道は、
1990年代に建設されたものが多く、下水道管の耐用年数をおよそ35年と仮定
すると2025年頃から大量に更新時期を迎えることが予想されます。
この地方公共団体の下水道事業においては、この施設の老朽化に加えて、人口減
少による使用料収入の大幅な減少、職員数の減少による管理や運営状況の悪化に対
し、広域化やDXをはじめとする効果的・効率的な取組が求められています。
国は、更新時期を迎える公共インフラの適切な維持管理や更新のために、PPP/
PFI推進アクションプラン(令和5年改定版)を策定し公共施設等運営事業へ移
行する方針を示しました。下水道においては、公共施設等運営事業への段階的な移
行を目指して、官民連携方式として、長期契約で管理と更新を一体的にマネジメン
トする方式を導入することとしました。
この下水道事業では、ウォーターPPPの導入が、政令指定都市をはじめ、人口
20万人以上の大規模地方公共団体で進んでいますが、中小規模の地方公共団体で
は進んでいないのが現実です。その原因の一つに、PPP/PFI手法は、仕組みが
複雑で検討も多岐にわたるため、中小規模の地方公共団体にはノウハウが少なく、
施設等の規模も小さく事業規模が大きくなりにくいこと等があります。
よって、国においては、地方公共団体が民間との連携のもとで、安定的かつ持続
的に下水道施設を機能させることができるよう、公共施設等運営事業への段階的な
移行を目指してのウォーターPPPの導入について、以下の措置を講じるよう強く
要望いたします。
記
1.地方公共団体への導入支援において、職員向けのガイドラインだけではなく、
中小規模の地方公共団体に寄り添う形で、相談窓口の開設や、専門家の派遣等の
伴走型の支援体制を整えること。
2. 社会資本整備総合交付金の交付について、「汚水管の改築に係る国費支援に関
して、緊急輸送道路等の下に埋設されている汚水管の耐震化を除き、ウォーター
PPP導入を決定済みであることを令和9年度以降に要件化する」 との国の方針
について、地方公共団体の取組状況に応じて弾力的な対応を検討すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年6月26日
北海道余市郡余市町議会議長 藤 野 博 三
【提出先】国土交通大臣、地方創生担当大臣
現在、情報通信技術の進歩と、それに伴う様々なサービスの拡大により、私たち
はいつでもどこでも、情報を入手したり、発信したりすることが出来るようになっ
ています。そのため、インターネット上には膨大な情報やデータが流通しています
が、その中には、事実とは異なる、偽情報や誤情報が流される事もあり、適切な対
処が必要です。
特に、災害発生時における情報は、多くの人々の命に直結する重要なものであり、
現在、必死の復旧と復興を進めている能登半島地震においても、多くの偽情報が発
信され、現場は大変混乱したとされ、具体的には、消防が救援を求める要請を受け
て現場に行っても、誰もいなかったというケースも多数あったと聞いています。ま
た、被災地の状況を知らせる画像情報においても、現場の実態とは全く違う合成さ
れたと思われる画像も拡散されていました。
いつどこで発生するかわからない災害に対して、特に発災直後は情報が錯綜する
中で、被災者の命を救うために、1分1秒も無駄にはできません。その活動を大き
く阻害する偽情報の拡散防止は喫緊の課題です。
よって、国においては、以下の措置を講じるよう強く要望いたします。
記
1.情報発信者や情報発信機器の事前登録等により、情報の信頼性を担保し、現場
からの正確な情報を収集し活用する情報連携環境を整備すること。
2.IoTセンサーやドローンを活用して、リアルタイムでの国と地方自治体の災
害情報共有体制を整備すると同時に、適切な情報分析と迅速な対策を促す気象防
災アドバイザーの自治体への配置を支援すること。
3.正確な情報を発信する公的情報サイトや政府認定のアプリケーション等、国民
への普及を強力に推進すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年6月26日
北海道余市郡余市町議会議長 藤 野 博 三
【提出先】総務大臣、国土交通大臣、デジタル大臣
地域における「こども誰でも通園制度」の制度拡充等を求める
要望意見書
「こども誰でも通園制度」は、子育て家庭の多くが「孤立した育児」の中で不安
や悩みを抱えており、支援の強化を求める意見がある中、全ての子どもの育ちを応
援し、子どもの良質な成育環境を整備するとともに、全ての子育て家庭に向けて、
多様な働き方やライフスタイルにかかわらない形での支援を強化するため、月一定
時間までの利用可能枠の中で、就労要件を問わず時間単位等で柔軟に利用できる新
たな通園給付制度です。
具体的な制度設計に当たっては、基盤整備を進めつつ、地域における提供体制の
状況も見極めながら、令和7年度には法制度化し、令和8年度には法律に基づく新
たな給付制度として全自治体で実施すべく、令和5年度から各地で試行的な事業が
行われています。
よって、国においては、地域の実情に合わせた速やかな制度の導入に加え、育児
と多様な働き方やライフスタイルの両立の推進のため、以下の措置を講じるよう強
く要望いたします。
記
1.実施事業所が不足する地域では、十分な受入れ先を確保するための施策を講じ
るため、試行的事業の職員配置や設備基準は、認可保育所並みの水準となってい
ますが、認可保育所等の実施事業所が不足している地域においては、制度の導入
推進を図るためにも職員配置や設備基準を満たすための財政的措置を含む支援策
を講じること。
2.自治体によって一人当たりの利用時間の上限を増やせるようにするため、試行
的事業では、補助基準上の一人当たり利用時間の上限は10時間としていますが、
それぞれの自治体における乳幼児数や地理的特性によって、利用時間のニーズに
バラつきが生じることが想定されます。こうした中、全国の市町村で実施する給
付制度とすることを前提としながら、自治体によって地域差が生じることについ
てどのように考えるのか、といった論点も含め、利用時間の在り方について検討
すること。
3.障がい児や医療的ケア児を受け入れられるようにするため、障がい児や医療的
ケア児とその家族を支援する観点や保護者の事情により通園ができない乳幼児に
ついても家庭とは異なる経験や家族以外と関わる機会を創出する観点から、こど
も誰でも通園制度においても障がい児や医療的ケア児の受入れを認めること。
4.重層的な見守り機能が発揮されるような制度設計とするため、こども誰でも通
園制度を地域資源の一つとして整備し、こども誰でも通園制度と合わせて、地域
に多様な子育て支援サービスを整え、潜在的待機児童の解消も視野に入れた重層
的な見守り機能が発揮されるような制度設計とすること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年6月26日
北海道余市郡余市町議会議長 藤 野 博 三
【提出先】財務大臣、こども政策少子化対策担当大臣
地方財政の充実・強化に関する要望意見書
地方公共団体の現状は、急激な少子・高齢化に伴う社会保障制度の整備、子育て
施策、人口減少下における地域活性化対策はもとより、感染症対策、DX化、脱炭
素化、物価高騰対策など、極めて多岐にわたり新たな役割が求められています。
加えて、急激に進められている自治体システムの標準化や多発化する大規模災害
への対応も迫られる中、地域公共サービスを担う人員は圧倒的に不足しており、職
場における疲弊感は日々深刻化しています。
政府はこれまで「骨太方針2021」に基づき、2021年度の地方一般財源水
準を2024年度まで確保することとしてきました。しかし、増大する行政需要、
また採用希望者の減少や中途退職者が増加している現状から、不足する人員体制の
改善を図っていくためには今後はより積極的な財源確保が求められます。
よって、国においては、令和7年度の政府予算と地方財政の検討に当たって、現
行の地方一般財源水準の確保から一歩踏みだし、日本全体として求められている賃
上げ基調に対応する人件費の確保まで含めた地方財政の確立を目指すとともに、以
下の措置を講じるよう強く要望いたします。
記
1.社会保障の充実、地域活性化、DX化、脱炭素化、物価高騰対策、防災・減災、
地域公共交通の再構築等、増大する地方公共団体の財政需要を的確に把握すると
ともに、それを支える人件費を重視し、現行水準以上のより積極的な地方財源の
確保・充実を図ること。
2.子育て対策、地域医療の確保、介護や生活困窮者の自立支援など、より高まり
つつある社会保障ニーズが自治体の一般行政経費を圧迫することから、地方単独
事業分も含め、十分な社会保障経費の拡充を図ること。特に、これらの分野を支
える人材確保に向けた自治体の取組を十分に支える財政措置を講じること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年6月26日
北海道余市郡余市町議会議長 藤 野 博 三
【提出先】内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、厚生労働大臣
北海道最低賃金改正等に関する要望意見書
北海道最低賃金の引き上げは、ワーキングプア(働く貧困層)解消のためのセーフ
ティネットの一つとして最も重要なものです。
労働基準法第2条では、労働条件の決定は労使が対等な立場で行うものと定めて
いますが、現状では最低賃金の影響を受けやすい非正規雇用労働者は、労働条件決
定にほとんど関与することができません。
令和5年8月31日に開催された「第21回新しい資本主義実現会議」において
「公労使三者構成の最低賃金審議会で、毎年の賃上げ額についてしっかりと御議論
いただき、その積み上げにより2030年代半ばまでに、全国加重平均が1,50
0円となることを目指してまいります」と述べられています。
最低賃金の引き上げ金額が低ければ、その近傍で働く多くの方の生活は、より一
層厳しいものとなり、個人の消費行動にも影響を与え、北海道経済にも悪影響を与
えかねません。
よって、北海道労働局においては、令和6年度の北海道最低賃金の改正に当たっ
て、以下の措置を講ずるよう強く要望します。
記
1.賃金構造基本統計調査の北海道における短時間労働者の平均時間額や民間の求
人時間額などを参考として、最低賃金を引き上げること。
2.設定する最低賃金は、道内高卒初任給時間換算額を下回らない水準に改善する
こと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年6月26日
北海道余市郡余市町議会議長 藤 野 博 三
【提出先】北海道労働局長