介護保険条例審査特別委員会

議会

2月20日(火) 余市町介護保険条例審査特別委員会が開催され、「余市町高齢者保険福祉計画・余市町介護保険事業計画」の第9期が示されました。

「余市町高齢者保険福祉・余市町介護保険計画」の趣旨

  • 2000年に介護保険制度が導入されて以来、20年以上が経過し、介護保険受給者数は1,100人を超え、事業者数も増加している。
  • 余市町では、”いきいき、すこやか、ふれあいのまち・余市” を基本コンセプトに、3年ごとに高齢者保健福祉計画と介護保険事業計画を策定してきた。
  • 第8期計画(2021-2023年度)では、団塊の世代がすべて75歳以上になる2025年を視野に入れ、高齢者の介護サービス見込量を算出し、対策を策定。
  • 地域包括ケアシステムの充実を目指し、介護だけでなく、医療、介護予防、住まい、日常生活サポートの総合的な提供体制を整える取り組みを進行中。
  • 2025年には、4人に1人が75歳以上になり、高齢化が一層進行し、医療・介護などのニーズ増大とともに、現役世代の負担増が見込まれる。
  • 第8期計画の締めくくりとして、従来の取組みを深化させ、将来に備えた新たな社会課題への取り組みを盛り込んだ第9期計画の策定する。

高齢化が進むにつれて介護保険制度の需要は増し、持続可能な制度となっているのかが問題視されています。制度の改定は国によって3年に1度改定され、全国一律に適応されます。それに伴って本町の計画も見直しされます。

料金改定 ( 余市町 )

所得に応じて区分されている段階の「第10段階」をさらに区分し、「第11段階」〜「第13段階」までが新設されます。

段階対象者基準割合保険料額対象被保険者数
 第10段階 本人が町民税課税で、合計所得
金額が420万円以上520万円未満
1.900 131,100 
( △800)
162人
第11段階本人が町民税課税で、合計所得
金額が520万円以上620万円未満
2.100144,90063人
第12段階本人が町民税課税で、合計所得
金額が620万円以上720万円未満
2.300158,70042人
第13段階本人が町民税課税で、合計所得
金額が720万円以上
2.400165,600167人
新たに区分された段階のみ

現在、余市町の保険料は、所得に応じて10の区分がありますが、見直しで新たに 3つ の段階を設け、特に高所得者からの保険料を引き上げることになります。これにより、高所得者はより多くを、低所得者はより少なくを負担する形に調整されます。

「第1段階」〜「第10段階」までの方は、全員減額となります。

介護保険制度は国と道と市町村が連携して運営して行くことが前提です。
では町村の業務は何か ? というと、町民が介護に陥らないこと、つまり予防や健康増進、高齢になっても住み慣れた場所で暮らしていけるためのまちづくり ( 地域包括ケアシステムという ) 、介護現場の人手不足を解消するための手立て ( 確保・育成するための研修会や講座の開催 )、ボランティア体制の構築、介護をしている家族へのケア ( ヤングケアラー対策も含む )、情報提供、相談窓口の設置、事務処理などなど、多岐にわたります。
なので計画としては介護保険制度を利用している人と、していない人も含めた高齢者福祉の計画と一体となっています。

・質問
高齢化社会の進展に伴って支える世代の負担増の問題は、これまでも様々なところで論じられてきているが、今回の本町の保険料改定にあたって、ここについてはどう考慮したいのか ?

・答弁
今回の保険料改定は国の一律改定である。

これはどうなのか ? と感じました。
何にせよ、負担増となる方たちがいるのだし、余市町は保険者として責任があるのだし、「これ以上負担増とならないよう努力していく」くらいの答弁は欲しかった。

介護保険料はその町まちの運営の仕方で大きく変わるものだし、実際に近隣町村と比較しても (余市町は料金は低い方ですが) みんな違うのです。

介護保険制度は、必要な人に適切にサービスが提供される仕組みとなっていなければならないと思いますが、しかし一方、ずっと元気であれば制度を使う必要はなく、生き生きと暮らすことができます。

そして支える世代の負担軽減にも繋がります。

他に「災害時の高齢者への避難支援としての個別計画」についてと「緊急時の情報伝達手段」について聞きました。

これを新たにやるのだというものは無いようで、これまでの取り組み ( いろいろやっているのですが ) を進めていく旨の答弁。

「地域包括ケアシステムの構築」とは多岐に渡るのだと思います。
高齢になっても住み慣れた地域で暮らしていくために必要なものは何なのか、国の示すメニューではなくてもアンテナを張って、何が出来るのか、という視点で進めて欲しいと思ってます。

委員会は各委員からの質疑を経て、賛成多数で可決となりました。

私の姿勢として改めて書くと、きちんと民意を反映させるための手順を踏んできたものについては、基本的に賛成です。
そういった意味でこの計画は「推進懇談会」を設置し、一般公募を含む20名の委員による懇談会を、計4回開催しています。

また、広くパブリックコメントもとっています。

「余市町高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画推進懇談会」の委員構成

  • 被保険者代表 ( 公募 )
  • 介護・福祉関係機関
  • 保健・医療関係機関
  • 学識経験者
  • その他一般町民団体等


🫛まめ知識
パブリックコメントとは・・・

政策を実施していくうえで、あらかじめその案を公表し、広く意見や情報を募集すること。
意見公募手続き。

🫛まめ知識
採決で反対があった場合は、賛成多数といいます。
全員賛成の場合は、全会一致といいます。

計画全体については、本会議で再度採択されてから、余市町ホームページへ掲載をされます。

以下、国における議論を中心に、制度全体についてまとめます。

介護保険制度とは

介護保険制度の概要

40歳以上の人が保険料を支払い、これが高齢者の介護サービスの財源になっています。
介護を必要とする高齢者は現在全国で約700万人に達しており、その数は年々増加しています。

制度の見直し

国は3年ごとに制度の大規模な見直しを行なっており、特に高齢者の保険料と自己負担の増加が主な議論の焦点となっています。この見直しは、財政難に直面する制度を支えるために不可欠とされております。

保険料の段階的引き上げ

現在、65歳以上の高齢者が支払う保険料は、所得に応じて9つの区分がありますが、見直しで新たに4つの段階を設け、特に高所得者からの保険料を引き上げることにしました。これにより、高所得者はより多くを、低所得者はより少なくを負担する形に調整されます。

自己負担の引き上げ議論

今回、国の見直しで介護サービス利用時の自己負担率の引き上げが議論されましたが、物価上昇を考慮し、今回の見直しでは拡大を見送ることとなりました。自己負担率は原則1割で、所得に応じて2割、3割の負担があります。

介護職員の人手不足と賃金問題

今回の見直しの大きな焦点の一つとなったのが、介護現場での人手不足と賃金の問題です。介護職員の平均給与は他産業に比べて低く、人手不足が深刻化しています。今回、給与の底上げ(ベースアップ)が決定されましたが、他産業との賃金格差の解消にはまだ至っていない状況です。

今後の課題

介護保険制度の将来に関する不安が強まる中、次回の制度改正では、2割負担の拡大や他の財源に関する議論が必要となります。さらに、介護サービスの質や職員の待遇改善、負担の公平性などが重要な議論ポイントとなります。

サムネイルのイラストは “Copilot”